木曜日といえば
週刊「SPA」(扶桑社)に掲載されている
「文壇アウトローズの世相放談 これでいいのだ!」は
もう既に200回以上続いている
文芸評論家と坪内祐三さんと福田和也さんの対談で
このテの対談としては出色の出来で
僕が言語化できずにモヤモヤしている問題を
スッキリさせてもらうこともしばしばです。
2月13日号掲載の第227回は、こんな出だしで始まります。
坪内 「あるある」に苦情の電話やメールが1万件って、どういうヤツ?それ
福田 ヒマな人がそれだけいるって話だよね。だいたいタダでテレビ見て健康になろうって了見がよくない。
坪内 そもそも日曜の夜9時台なんて「ショー」なんだからそ、何か学びたいんだったら、他の時間帯の教育的な番組を見ればいいんだよ。
福田 本でもインターネットでも調べりゃいいじゃんねぇ。そういう労もとらないで、「テレビにダマされた」なんてさ。自分の体のことだろう。
坪内 他系列のテレビや新聞の張り切り方もスゴイよね。朝日新聞や読売新聞が1面トップでさ、ヤラセ続々、味噌汁も!レタスも!って。
福田 レタスで眠くなろうがなるまいが、どうってことないじゃん。それより、レタスで眠ろうとした自分を恥ずかしいと思ったほうがいい。
で、その後、テレビ業界や、不二家問題についての
メンタリティーの問題へと話は進んでいって、
最終的にはマスメディアについて
坪内 (前略)でも「不二家」でも「あるある」でも「柳沢発言」でも、いったん流れが決まると、「どうでもいいじゃん」って声は、いっさい反映されないね。
福田 もうマスメディア自身が、クリエイティブじゃないんだよ。
坪内 「こういう別の考え方もあるよ」ってことは一切見せないで、物事を単純化して視聴率をとろうとするからね。(後略)」
と締めているのです。
うむ。これ以上「あるある」問題について他人が発言する必要はなし。
と、思わせてくれた文章だったのでした。
文の力の威力です。
それで「あるある」問題だけでなく、マスメディアの単純化や
ノセラレやすい国民のメンタリティーについての問題を
先鋭的なネタにしているために、毎週楽しみにしているのが
週刊モーニング(講談社)連載の「実録!関東昭和軍」(田中誠 作)なのです。
「実録!関東昭和軍」は、このブログでも何度か話題にしていまして
相変わらず面白いのですが
以前は、監督や先輩の体罰などが、少々露悪的に
高校野球の内幕といった調子に描かれていて
それを覗き見するような楽しみだったのです。
が、関東昭和軍こと関東昭和高校の野球部が甲子園を決めて
しかも遠征中にチームのエース「一葉クン」が
「喫煙」をしたあたりから
内容が複雑になってきました。
高校野球の体質とか
マスコミの体質とか
それをとりまく観客の体質とか
そこらへんを含めて告発するような内容になってきました。
雑誌の部数を増やすために「オイしい写真をとる」ことを望んでいながら
いざ、写真がとれると正義を振りかざし、出場辞退を促す出版社。
小遣い銭を稼ぐために写真をとる旨言ったあとに、
「頼むぜ、関東のチンピラチームちゃん」などといったような
セリフもありますし。
(因みにこの回の最終ページのハシラには
「ヤクザの覚醒剤使用より、球児の喫煙で騒ぐ
これぞ美しい国・日本」
とあります。)
選手宣誓で過去の出場辞退の理不尽さを訴える、野球部主将
(21世紀枠・宮崎県立都城東国原高校、園万間ひがしクン)
そして、登場する関東昭和高校に対して、罵声を浴びせる
甲子園の観客。
といったところが、田中氏独特なシニカルなブラックジョーク交じりで
描かれているのですが。
と、なると、
今までは、野球エリートからオチコボレ
奥さんにも逃げられて
ひたすら選手に聞くに堪えない罵声を浴びせるか、
ケツバットなどの体罰をするかといった
狂言回しのようなロクデナシに描かれていた尾宮監督が
存外まともに見えたり
例えば、三人の喫煙が発覚した時は
「自分はですね なんの落ち度もない人間が巻き込まれて 人生変えられちまうことには たしかに納得いかないんです!
ですが 恥知らず 卑劣漢に伝統ある関昭のユニフォームを着せるわけにはいきません!
しでかした事に対しては男らしく責任をとる!
ミスしたらビンタを食らう!
それこそが我が関昭が関昭たるゆえんなんです!」
とタンカを切ったり
いっせいに五万観客がブーイングを浴びせた時には
「お前らもこれで よくわかっただろう… こ 甲子園が戦場だってことが…
そして今日は 相手の報得(註 関東昭和の一回戦の相手は報得学園です)だけが 敵じゃねぇ
この5万の観衆も仕事もしねぇでテレビ観ているおよそ5千万ま人間も すべてが敵だと思え!
それにひきかえ 我が方は たった15人…
普通に考えりゃ 一人残らず 玉砕して終わりだ…
だがな けっしてひるむな 臆するな!
こういう時こそ 日々殴られ蹴られして 真っ白になってるお前らのアタマと心臓が生きてくるんだぞ
報得の連中が何だ! 5万6万の観衆が何だ! テレビで観ている連中なんぞは 姿すら見えやしねぇ!
お前らは 小泉政権下で あれだけの痛みに耐えてきたんだろ!
顔面を腫らし ケツにアザ作ってきた 思いのすべてを やつらにぶつけてやれ!」
と喝を入れるところなんざ。
体罰こそは、ほめられたことではないのですが
なんか、「フルメタルジャケット」とかの鬼軍曹みたい
ちょっとカッコイイと思ってしまいました。
しかも、監督の檄にこたえて
監督が乗り移ったような感じで
近畿王者報得学園に対し、気迫丸出しでプレイする
「神楽坂クン」や「山楝蛇クン」の
イサギヨイ姿もカッコイイ。
本当に関東昭和を応援するしかない感じです。
荒唐無稽な話しにリアリティーを持たせているのが、
作者田中誠氏の甲子園にまつわる資料の読み込み方で、
資料が話のなかでいい感じに生きてきているところも
スゴいです。
この5万の観衆のブーイングを見て
松井選手を敬遠した結果勝利した明徳義塾を思い出すのは
僕がそういう世代だからですか。
しかも、星稜に勝ったあとの明徳の宿舎への
イヤガラセの電話が4000件あったことも一緒に思い出したりして
にしても、松井秀喜選手という一高校生を5連続敬遠したことを
大観衆の中とか自分の姿が見えない電話といった
匿名という隠れ蓑にかくれて
自分のうさをハラすかのようにブーイングをする資格が
どこのダレにあるというのか
で、このブーイングをしたり、明徳の宿舎にイタズラ電話をする層が
実は「あるある」に苦情をかけた層と多分カブルのだろうなと考えると
なんだかどんよりしてしまうのですが。
匿名の立場で、善意をよそおい、不法を追求することで
実は、自分のストレスを解消する
実は、いたるところで連日おきる不祥事とは
そんな構造とは無縁ではないのではないでしょうか。
ウサを晴らしたい視聴者と
提供することにより部数や視聴率を稼ぎたいマスコミの作る
合わせ鏡のなかで、踊っているんだか踊らされているんだかも
わからないうちに本能のまま行動してしまう。
いつになればそんな貧困なメンタリティーから
脱却できるのでしょうかね。
あの名監督馬淵監督ですらビビってしまった
五万の大観衆をものともせずに
尾宮監督率いる関昭には、是非、報得に勝ってもらって
しかも、宿舎へ来るであろうイタ電とかにも毅然と対応して
そんなヒントを見せてほしい
というか、そこまで書いていただきたいですね。
今後とも目が離せません。
というか、これと
「GIANT KILLING」(作綱本将也 画ツジモト)のせいで
木曜が待ち遠しくてしょうがなくなったのですけど。
FURANO History Factory (F.H.F.フラノヒストリーファクトリー)
コールサインJOZZ1AS-FMFM 周波数77.1MHz
北海道富良野市とその周辺で聴くことが出来る
コミュニティーFM局「ラジオふらの」の
毎週月曜日午後四時から(再放送は日曜日午後六時から)オンエアー中
「文壇アウトローズの世相放談 これでいいのだ!」は
もう既に200回以上続いている
文芸評論家と坪内祐三さんと福田和也さんの対談で
このテの対談としては出色の出来で
僕が言語化できずにモヤモヤしている問題を
スッキリさせてもらうこともしばしばです。
2月13日号掲載の第227回は、こんな出だしで始まります。
坪内 「あるある」に苦情の電話やメールが1万件って、どういうヤツ?それ
福田 ヒマな人がそれだけいるって話だよね。だいたいタダでテレビ見て健康になろうって了見がよくない。
坪内 そもそも日曜の夜9時台なんて「ショー」なんだからそ、何か学びたいんだったら、他の時間帯の教育的な番組を見ればいいんだよ。
福田 本でもインターネットでも調べりゃいいじゃんねぇ。そういう労もとらないで、「テレビにダマされた」なんてさ。自分の体のことだろう。
坪内 他系列のテレビや新聞の張り切り方もスゴイよね。朝日新聞や読売新聞が1面トップでさ、ヤラセ続々、味噌汁も!レタスも!って。
福田 レタスで眠くなろうがなるまいが、どうってことないじゃん。それより、レタスで眠ろうとした自分を恥ずかしいと思ったほうがいい。
で、その後、テレビ業界や、不二家問題についての
メンタリティーの問題へと話は進んでいって、
最終的にはマスメディアについて
坪内 (前略)でも「不二家」でも「あるある」でも「柳沢発言」でも、いったん流れが決まると、「どうでもいいじゃん」って声は、いっさい反映されないね。
福田 もうマスメディア自身が、クリエイティブじゃないんだよ。
坪内 「こういう別の考え方もあるよ」ってことは一切見せないで、物事を単純化して視聴率をとろうとするからね。(後略)」
と締めているのです。
うむ。これ以上「あるある」問題について他人が発言する必要はなし。
と、思わせてくれた文章だったのでした。
文の力の威力です。
それで「あるある」問題だけでなく、マスメディアの単純化や
ノセラレやすい国民のメンタリティーについての問題を
先鋭的なネタにしているために、毎週楽しみにしているのが
週刊モーニング(講談社)連載の「実録!関東昭和軍」(田中誠 作)なのです。
「実録!関東昭和軍」は、このブログでも何度か話題にしていまして
相変わらず面白いのですが
以前は、監督や先輩の体罰などが、少々露悪的に
高校野球の内幕といった調子に描かれていて
それを覗き見するような楽しみだったのです。
が、関東昭和軍こと関東昭和高校の野球部が甲子園を決めて
しかも遠征中にチームのエース「一葉クン」が
「喫煙」をしたあたりから
内容が複雑になってきました。
高校野球の体質とか
マスコミの体質とか
それをとりまく観客の体質とか
そこらへんを含めて告発するような内容になってきました。
雑誌の部数を増やすために「オイしい写真をとる」ことを望んでいながら
いざ、写真がとれると正義を振りかざし、出場辞退を促す出版社。
小遣い銭を稼ぐために写真をとる旨言ったあとに、
「頼むぜ、関東のチンピラチームちゃん」などといったような
セリフもありますし。
(因みにこの回の最終ページのハシラには
「ヤクザの覚醒剤使用より、球児の喫煙で騒ぐ
これぞ美しい国・日本」
とあります。)
選手宣誓で過去の出場辞退の理不尽さを訴える、野球部主将
(21世紀枠・宮崎県立都城東国原高校、園万間ひがしクン)
そして、登場する関東昭和高校に対して、罵声を浴びせる
甲子園の観客。
といったところが、田中氏独特なシニカルなブラックジョーク交じりで
描かれているのですが。
と、なると、
今までは、野球エリートからオチコボレ
奥さんにも逃げられて
ひたすら選手に聞くに堪えない罵声を浴びせるか、
ケツバットなどの体罰をするかといった
狂言回しのようなロクデナシに描かれていた尾宮監督が
存外まともに見えたり
例えば、三人の喫煙が発覚した時は
「自分はですね なんの落ち度もない人間が巻き込まれて 人生変えられちまうことには たしかに納得いかないんです!
ですが 恥知らず 卑劣漢に伝統ある関昭のユニフォームを着せるわけにはいきません!
しでかした事に対しては男らしく責任をとる!
ミスしたらビンタを食らう!
それこそが我が関昭が関昭たるゆえんなんです!」
とタンカを切ったり
いっせいに五万観客がブーイングを浴びせた時には
「お前らもこれで よくわかっただろう… こ 甲子園が戦場だってことが…
そして今日は 相手の報得(註 関東昭和の一回戦の相手は報得学園です)だけが 敵じゃねぇ
この5万の観衆も仕事もしねぇでテレビ観ているおよそ5千万ま人間も すべてが敵だと思え!
それにひきかえ 我が方は たった15人…
普通に考えりゃ 一人残らず 玉砕して終わりだ…
だがな けっしてひるむな 臆するな!
こういう時こそ 日々殴られ蹴られして 真っ白になってるお前らのアタマと心臓が生きてくるんだぞ
報得の連中が何だ! 5万6万の観衆が何だ! テレビで観ている連中なんぞは 姿すら見えやしねぇ!
お前らは 小泉政権下で あれだけの痛みに耐えてきたんだろ!
顔面を腫らし ケツにアザ作ってきた 思いのすべてを やつらにぶつけてやれ!」
と喝を入れるところなんざ。
体罰こそは、ほめられたことではないのですが
なんか、「フルメタルジャケット」とかの鬼軍曹みたい
ちょっとカッコイイと思ってしまいました。
しかも、監督の檄にこたえて
監督が乗り移ったような感じで
近畿王者報得学園に対し、気迫丸出しでプレイする
「神楽坂クン」や「山楝蛇クン」の
イサギヨイ姿もカッコイイ。
本当に関東昭和を応援するしかない感じです。
荒唐無稽な話しにリアリティーを持たせているのが、
作者田中誠氏の甲子園にまつわる資料の読み込み方で、
資料が話のなかでいい感じに生きてきているところも
スゴいです。
この5万の観衆のブーイングを見て
松井選手を敬遠した結果勝利した明徳義塾を思い出すのは
僕がそういう世代だからですか。
しかも、星稜に勝ったあとの明徳の宿舎への
イヤガラセの電話が4000件あったことも一緒に思い出したりして
にしても、松井秀喜選手という一高校生を5連続敬遠したことを
大観衆の中とか自分の姿が見えない電話といった
匿名という隠れ蓑にかくれて
自分のうさをハラすかのようにブーイングをする資格が
どこのダレにあるというのか
で、このブーイングをしたり、明徳の宿舎にイタズラ電話をする層が
実は「あるある」に苦情をかけた層と多分カブルのだろうなと考えると
なんだかどんよりしてしまうのですが。
匿名の立場で、善意をよそおい、不法を追求することで
実は、自分のストレスを解消する
実は、いたるところで連日おきる不祥事とは
そんな構造とは無縁ではないのではないでしょうか。
ウサを晴らしたい視聴者と
提供することにより部数や視聴率を稼ぎたいマスコミの作る
合わせ鏡のなかで、踊っているんだか踊らされているんだかも
わからないうちに本能のまま行動してしまう。
いつになればそんな貧困なメンタリティーから
脱却できるのでしょうかね。
あの名監督馬淵監督ですらビビってしまった
五万の大観衆をものともせずに
尾宮監督率いる関昭には、是非、報得に勝ってもらって
しかも、宿舎へ来るであろうイタ電とかにも毅然と対応して
そんなヒントを見せてほしい
というか、そこまで書いていただきたいですね。
今後とも目が離せません。
というか、これと
「GIANT KILLING」(作綱本将也 画ツジモト)のせいで
木曜が待ち遠しくてしょうがなくなったのですけど。
FURANO History Factory (F.H.F.フラノヒストリーファクトリー)
コールサインJOZZ1AS-FMFM 周波数77.1MHz
北海道富良野市とその周辺で聴くことが出来る
コミュニティーFM局「ラジオふらの」の
毎週月曜日午後四時から(再放送は日曜日午後六時から)オンエアー中

