パリのムハンマドの肖像画掲載を突端としたことで起きた事件など、
イスラム過激派のテロと対峙する欧米という構図によって、
新年早々どうなるのかという世界情勢ですが、
その裏では報道の量はいよいよ少なくなりましたが、
ウクライナでも政府軍と親ロシア派との対立は依然続いておりまして、
こちらも解決の目処がたっておりません。

ソ連が崩壊したときに、バルト三国とCIS諸国が、それぞれ独立国として
発足をしますが、それ以外にも小さな国々が独立国と称して、
ソ連から独立した国からさらに独立をしようとします。

当ブログで何度も出てきている、グルジアの、南オセチアとか、アブハジアなど
ザカフカースの人種民族宗教構成がぐちゃぐちゃになっているところや、
モルドバの沿ドニエストルとか、ガガウズ、それからウクライナのクリミアなどです。

新しい政権の失政と資本主義への意向の難しさに加えて、
ロシア共和国はこれらを影に支援をしたということで、
さらにヤヤこしくなってこれらの国との関係がこじれますし、
現在の問題の多くがこれに端を発しています。

そんなことで、一筋縄ではいかないだろうなとは思っています。
ま、さまざまな方法で情報を集めて今後のことを考えていくのが、
まずはすることだなと思って、あれこれニュースを見たりしています。

しかも、この冬、このブログでもちょこっと書きましたが
ある本のせいで、ここらへんの地域が気になってしょうがなくなったのです。


それが、
速水螺旋人さんのコミック「大砲とスタンプ」〔講談社モーニングコミック〕
と、
芝村 裕吏さんの小説「遙か凍土のカナン」 (星海社FICTIONS)です。


「大砲とスタンプ」は「唯一無二のミリタリー法螺漫画」と銘打たれていて、
××っぽい国と○○っぽい国が出てきたり、リアリティーのある架空兵器が
バンバンでてくる話ですが、あくまでも、法螺漫画なのでこのさじ加減が面白い。
また、ミリタリーマンガですが、主人公の女性中尉が、
物資の調達・配給を行う兵站を専門に担当する部隊に所属していて
戦闘シーンも、架空兵器も彼女ら兵站軍の活躍にリアリティーをもたせる
感じに働いているのが、これまた不思議です。

が、これが滅法面白いのです。

舞台になっているのは「大公国」が占領した敵国「共和国」の都市アゲゾコ。
敵国の中の都市を点で支配しているのでまさに最前線で、要人のテロもあります。
そこの管理部第二中隊に配属されたのが、マルチナ・マヤコフスカヤ少尉。
真っ直ぐな性格で責任感が強く、事務仕事についてはきわめて有能、
ただし少々融通が利かないところがあります。
彼女が来る前の第二中隊は、兵器、生活物資など全般の調達、配給について、
伝言ゲームで行っていて、そのせいでただでさえ不足がちな物資が
ますます前線に届かないという状況が続いています。
上司のキリュシキン大尉も、それをとがめず、しかも、仕事よりも
自作のSF小説の執筆のほうが大切という、グータラぶりを発揮しています。

これにキレた、几帳面なマルチナ少尉が
「責任問題です!!」と言いながら、部署の改善をはかっていく。

しかも、この問題から、上司の不正や、癒着、賄賂の横行なども絡んでいて、
そこらへんにも対処して、最初は彼女の真っ直ぐさと、周囲のダラしなさの
ギャップだったりとか、あまりにも愚直で真っ直ぐなところがかもし出す
おかしみが、物語の面白さの基調にはあるのです。
ちなみに、ついたあだ名が「突撃タイプライター」ってものいいです。

ただ、次第に、兵站軍の軍人としての任務を果たしていきながらも
多くの軍人とあい、事件を解説するなかで、信頼を確立していったり、
次第に人間味も出てくる、成長譚としてもしっかりと読ませてくれるのです。

だから、ミリタリーマンガでありながら、戦闘が描かれることはきわめてすくないですが、
マルチナが物資を届けに行った直後に爆撃にあい、届けた相手が腕だけになったりとか
「大公国」と同盟を結んでいる「帝国」の行事に参加したさいに
書類を紛失した嫌疑をかけられて暗殺されそうになったり、と
ハードなシーンもあります。

このハードなシーンが仕事の延長としてある。
兵站軍という他の軍から「紙の軍隊」と小ばかにされている仕事とはいえ
軍の仕事ならではの危険と背中合わせになっているところが、
日常の仕事場面がコミカルな描写なのとともに、ハードに感じます。

とはいえ、戦争は戦場だけで行われるものではないのです。
前線と銃後の関係ってそういうことなのか、ということを想像することが容易です。
思えば、マルチナが勤める要塞のあるアゲゾコ市でも
交戦中ということで、テロリストが横行したりしていますが、

アゲゾコの人の生活も淡々と進んでいくのです。これが戦争なのです。

思えば、作品中に、速水さんが、「海軍めしたき物語」に感銘を受けて、
ミリタリーの道に興味を持ったむねかかれていましたが、
兵站を舞台にして、銃後の人の生活をしっかりと描いたこのマンガのルーツが
そこにあるのだな、ということを感じることができます。


そんなお話の舞台になっているのが、大公国と共和国の間っぽいところ、
架空のウクライナっぽいところなのです。


そして、後者
遥か凍土のカナン

主人公の大日本帝国騎兵大尉 新田良造。
彼が日露戦争の黒溝台会戦で戦うシーンから
話は始まります。

これは、ガチンコの戦闘シーンがハードボイルドに描かれます。
塹壕の中での会話、敵襲に対する恐怖、におい、風などの描写が
読んでいて迫ってきますし、今までの日露ものとは違う
新しい史料の解釈などが入るところもいいです。

日露戦争の前と後で戦法の大きな変化がおきますが、
良造自身も目の前でコサック騎兵が銃によりなぎ倒される様子を見て、
騎兵が時代遅れになることを感じ、軍を離れようと考えていたところで
新たな任務が与えられます。

それが、良造のところに転がり込んできたウクライナコサックの末裔
エレーナ嬢を連れて、極東ロシアに親日政権を作るということ。
しかも、エレーナ嬢を派遣したのが、日露戦争で対峙する前に、
偶然来日したときに一緒に東京湾でボラを釣ったクロパトキン大将。

そして良造は、大陸へとむかいます。

そこで、オレーナとケンカしながらも意思を通わせ、
さらには得がたい仲間を得ていく。

という内容です。

現在は、極東アジアで根拠地を探しているところ、
極東アジアへ行く前に、ペテルブルグで、ウィッテにあったりしますが、
本作では、ウクライナに行くことはありません〔今のところは〕

とはいえ、コサックといえば、ウクライナですし、
ロシアとウクライナの関係も本作にも見え隠れしていたので、
そのような点でも興味深いと思ったのでした。

続刊は6月ということで、また楽しみが増えたのです。



かつて、コミュニティー放送局FM「ラジオふらの」(富良野市)の
月曜午後五時からオンエアーしていた
FURANO History Factory(F.H.F.フラノヒストリーファクトリー)の
パーソナリティーをつとめていたイトー×aniでした。(´・ω・)ノシ
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