このとこと仕事が少し余裕のある感じなので
家に帰ってからは読書三昧。
直近では森絵都と森奈津子を交互に2冊ずつ読んでいて3冊読了しました。

さて、昨年の話ですが、大腸内視鏡検査をしたのちにポリープの除去を行ったので、
そのまま入院ということになりました。
大腸内視鏡検査のためには、午前中下剤を飲んで、
大腸をカラにしなければならない。
このインターバルが時間がかかりますが、もう数度も経験しているので慣れたモノ。
そして内視鏡検査ならびに手術の後には一晩病院で過ごす。
そんな待ち時間が多いときに時間をつぶすためにふさわしい本は何か。

何冊も持って行かないで一冊でもある程度じっくりと読めて、
かといってコ難しい内容ではなく出来ればフィクションで楽しく読むことが出来る。
さらには今まで読んでいない本ながらも、
この作者の話なら鉄板で外しはない。

ということで、以前は、米澤穂信さんの、「ふたりの距離の概算」でした。
おかげで、アニメに出てこない、大日向 友子ちゃんのCVは誰かなぁ、
などと考えながら検査と手術に挑んだわけです。
ちなみに、こちらは病棟の公共スペースには「氷菓」があったので
読み返したりしたのでなおさらです。

さて、病院へ行く前に、小樽駅横にある紀伊國屋で本を選ぶことしばし。
この時に選択したのが、有川浩さんの「キケン」でした。
「塩の街」がまだ文庫本だった時にはじめて読んで以来、
自衛隊三部作も図書館シリーズも大好きでよんでいましたが、
特に理由はないのですが、最近は少し遠ざかっていた感じ。
そこで、前述の条件にもあうので、迷わずに購入。

そして、病院での諸々の待ち時間と、その日の夜とで一気に読みました。
有川節健在(当たり前ですが)で、相変わらず安定して面白いです。

関西某所(推定)にある成南電気工科大学という工業大学で、
ロボットを作ったりするガチ理系の部活「機械制御研究部」略称「キケン」の
周辺に起きるアレコレについてのお話ですが、
ロボットを作る部活というと、すぐにロボコンが頭に浮かびます。
そして、キケンも、全国系ロボットコンテストの上位に入っている説明もありますし、
ロボコンのような大会の描写もないことはないですが、
そこで勝つとか負けるとかは添え物に過ぎません。
(しかもこの添え物の仕方がまたたまりません)。
あくまでも、文化部の、日常はまったりとしながらも、
たまに見せるスパルタン具合がいい塩梅でまざっている、
文化部ものの王道をいく話になっています。

僕自身、小説でもマンガでも文化部ものも日常ものも大好物なので、
さらにこれが理系ものとなると、最近お気に入りの
「℃りけい」(マンガ わだぺん 原作 青木潤太郎 ヤングジャンプコミックス・ウルトラ 集英社刊
=セーラー服の上に白衣を小粋に着こなす濃い理系女子高生が満載で、
読んでいて幸せになります〉にかさなって楽しくよめます。

自衛隊~図書館シリーズのように緊迫感のある事件があるわけでもないのですが
スリリングで、なおかつバカな学生の日常が描写されているところがまずはいいです。
自分自身が中学こそはスパルタ式の吹奏楽部だったのですが、
高校の吹奏楽部はそこまでもなく、大学のサークルも(非音楽系)普段は週一程度の練習と、
興行こそはその準備から本気で行ったのですが、
それ以外は非常にまったりとスゴしたので、ここも重なりまして、
親近感をもって読むことが出来ました。

中でも、学校祭でラーメンを作って、当日はシフトが外れては泥のように寝るほど
大盛況になるという話。これが、噛ませ犬になっているPC研とか、
大学祭に来たアイドル(ってのもらしいです)も絡んで、
まさに大学祭ならではの華やかでいいエピソードです。
それにしてもPC研って、この手の作品では噛ませ犬になる場合が多いですね、本作といい、ハルヒといい。

本作は、主人公の学生時代を回想する形式で話がすすみますが、
最後に、主人公の奥さんが話しを聞いて、大学祭に行きたくなって、
2人で行くのですが、ここで、現役の学生を見て、
「殺人的な慌ただしさの中、こいつらは何て楽しそうなんだろう。
なあ、気付いてるか、お前ら。今は必死で楽しいなんて考える余裕もないけど。
それに気がつくのは、部外者になってからじゃないと分からないんだ。
だから限界までやっとけよ。祭の主役でいられるうちに。」
「全力無意味、全力無謀、全力本気。一体あんな時代を人生の中でどれほどすごせるだろう?」
と、回想するところに、
大学に再び行った時に気がつく、
「もう、あの場所は俺たちの場所じゃない。それを認めるのが嫌だったのだ。」
というのは、僕自身も何回味わった感覚です。
うん。楽しい空間に自分が入ることが出来ないというのは、
しょうがないことですが、辛いです。
紡木たくさんの「みんなで卒業を歌おう」の中にも、
同じような感想を述べる主人公がアコガレている3年生が出てきて、
共感したのです。本当にあれから何度同じ感覚を味わい、
この感覚を味わった人を見てきたのでしょう。

そして、本作を魅力的にしているキャラクターも数多居ますが、
主人公の「お店の子」が冷静なツッコミ担当
(だから、たまにキレるとそのギャップが面白い)ということで、
最高にキケンな上野先輩と、上野先輩でさえ恐れる存在の大神先輩のキャラクターが立ちます。

特に上野先輩。爆発とバイクが好きな変人の王様キャラで、
物事をノリとイキオイで押し切ろうとする強引さって、
こちらもまったり系文化部マンガの傑作「究極超人あ~る」の鳥坂先輩ではないですか。
上野先輩は中指たてて「むわ~かせて」とか言いませんけど。

にしても、ロボコンのロボットにも自爆装置を仕込むなんて本物です。
まさに「キケン」というのは彼のためにある言葉。

という感じで、「キケン」なのはタイトルだけ、
極めて良質な学園エンターテインメントとして、
笑いながらホロッと出来る大満足の一冊でありました。




かつて、コミュニティー放送局FM「ラジオふらの」(富良野市)の
月曜午後五時からオンエアーしていた
FURANO History Factory(F.H.F.フラノヒストリーファクトリー)の
パーソナリティーをつとめていたイトー×aniでした。

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