立て続けに、今柊二さんと、久住昌之さんの本を二冊づつ購入して読了しました。

今さんの著作は「旨い定食 途中下車」(光文社新書)と、
「かながわ定食紀行 おかわり!」(かもめ文庫 神奈川新聞社)です。

「旨い定食~」は、私淑しております畸人研究家にして、定食学徒である今さんが、
東急東横線や京浜急行といった東京近郊の私鉄沿線を中心に、
阪急、阪堺といった関西の鉄道に、函館市電に札幌市電といった
北海道の市電に乗っては、途中で降りて、そこで見つけた美味しい定食屋さんを
紹介する本です。

紹介文には、
「鉄道にぼんやり乗って、別の街にご飯を食べに行く。そんな一瞬一瞬こそ、人生で最高の幸せだ。
やっぱり日本人なら定食。食べて感謝、心遣いに感謝、
「定食マエストロ」による「定食×鉄道」の痛快エッセイ」
とあるとおり、食と同じくらい、鉄道のことも書かれていまして、
両方の組み合わせの妙があり、関西や北海道の遠征があるものの、
ほとんどが都内の移動でありながら、そこに旅情を感じます。

そう、定食探訪は、日常の中の旅行であることを、再認識させてくれます。

また、個人的には、文章として読むのも楽しいのですが、
知っているお店が出てくるとなおさら楽しいです。

今回は、函館の大好きな天ぷらやさんである「まつ本」さんが、その味のある外見や
店内の写真とともに取り上げられていまして、読んでいて懐かしくなりました。

また、このような文章を読むと、彼の眼では、市電の景色がこのように映るのかというのも
新しく発見できますし、このあと、市電に乗ったときには、意識しながら景色を見てしまいそうです。

そんな意味でも何重にもオイシイ本でありました。

「かながわ定食紀行~」は、神奈川県内の定食屋さんを中心に紹介した
神奈川新聞日曜版に現在も連載されている文章をまとめたもので、
一作目である「かながわ定食紀行」も楽しく読むことができました。

楽しく読んだ一作目同様、神奈川県の定食屋サンに行きたいという思いとともに、
彼が語る学生時代と定食屋さんとのかかわりや思い出が伝わってきて、
さらには、自分の学生時代と定食屋さんの係わりについて思い出されてくるのです。

学生時代、全メニューを制覇したものの、現存していない、
味の洋食キッチンいなづきの思い出などです。

そのようなノスタルジーを感じるほのぼのとした描写とともに、
両方の本に共通することなのですが、あくまでも、たんたんとした素朴な筆致で
定食について書かれているのです。

それが、氏の定食に対する強い思いだったり、自分のたどってきた道なりなりが
あくまでも過剰でない表現で描かれているのです。
だから、味の表現が過剰になりかけると、
(おっと、間抜けなグルメ評論みたいな文章になってしまった)などと冷静にツッこんでいます。

そんな姿勢が大好きなのです。

ちなみに、彼は、この神奈川新聞の連載とともに、某教育系の雑誌に60回近く続いている
「学食バンザイ!」という連載をしております。
雑誌の出版社である学事出版からは無理としても、どこからか、この単行本が出ないものでしょうか。

あと、「かながわ~」ですが、北海道の書店でずっと探しても見つからなかったところ、
先日ライブのおり上京し、その途中に寄った「書泉グランデ」の6Fで見つけました。

それにしても、なぜ6F??、先日リニューアルして、全フロアが鉄道の本やグッズだけに
なったはずなのに…




久住さんの著作は、「昼のセント酒」(カンゼン 刊)と、「ひとり家飲み 通い呑み」(日本文芸社)です。
「野武士のグルメ」以来、一挙に食関係のエッセイ本が2冊同時発売です。

「セント酒」は、久住さんが昼から銭湯に入って、その足で飲みに行くという話。
紹介文には
「真っ昼間の、銭湯上がりの生ビール。これに勝てるヤツがいたら連れて来い!
漫画『孤独のグルメ』『花のズボラ飯』の原作者である久住昌之氏の最新エッセイ!
銭湯でからだを流し、明るいうちから一杯やる「昼のセント酒」。
天窓から入る明るい光。高い天井に「コーン」と響くオケの音。
広い湯船につかって、さっぱりしたからだに流し込む泡の立ったビール。
このシチュエーションで飲む酒が、美味くないはずがない。
時代の変化に飲み込まれずに生き延びた銭湯で、人々に愛され続けてきた古い居酒屋で、
珍妙なものに遭遇したり、明るい酔いに浸かったり、人の生き方を見て感慨深くなったり。
滑稽だけと、どこかノスタルジック。
お金をかけずに、気軽に、お酒を美味しく気持ちよく楽しむ、楽酔話」

とあります。

そもそも、この本にひかれたのは、以前購読した
「それでも食べに行きたい 辺境絶品グルメ 関東エリア編」(マガジンハウス 刊)の
冒頭が、「辺境めし」という、泉昌之さんのコミックで、
泉さんのコミックでおなじみ、トレンチコートの男、本郷が、
鶴見線に乗って、安善で降りて、真っ昼間から寛政町の安善湯に入ったのちに、
同じ町内の、焼き鳥一休、まちだ家と気持ちよくハシゴをする話でした。

こののちに掲載されている、久住さんのインタビューがのっていまして、
この本を購読して、これらの店に興味を持ったところ、
「セント酒」にも、寛政町の安善湯と、一休が取り上げられていたのです。

ほんとうに、すべてのエッセイが心から気持ちよさそうですし、
表紙の和泉晴紀さんの本郷のイラストもいい味だしています。


そして、あと一冊の「ひとり家飲み通い呑み」です

こちらの説明文はこんな感じです。
「ベストセラー「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」「食の軍師」の原作、共作で
食漫画に新風を吹き込む久住昌之氏が、ひとり酒とその肴となる飯の特徴を、
ときにファンキーに、ときにリリカルに綴る、愉しいイラスト&エッセイ集。
第一部は「孤独の飲み飯」、第二部は「今夜もひとり居酒屋で」。
カバーや文中後半のイラストには、実弟のイラストレーター&絵本作家の久住卓也氏も参加。
寒中ふろくには同兄弟ユニットQ.Q.Bの「幼稚な大人漫画」を特別掲載。
バラエティーあふれる内容です。」

こちらは、氏の前作である「江ぐち」や「野武士のグルメ」にも通じる
テンションが高い文章が楽しくて一気に読めます。

そう、二冊に共通して言えるのですが、久住さんの文章は、
昔なつかしい、昭和軽薄体の香りを漂わせつつ、基本ハイテンションにつっぱしり、
そのハイテンションさ故の暴走気味に突っ走らせる自分の物の見方に対する
照れくささの入った計算づくのセルフ突込みが魅力です。

このハイテンションなものの見方自体を、キャラクターの行動にして笑い飛ばすのが
「芸能グルメストーカー」であり「天食」であり、「食の軍師」といった、
和泉晴紀さんと組んだ、泉昌之名義の作品群であり
水沢悦子先生が絵を担当している「花のズボラ飯」です。

「花のズボラ飯」のハナちゃんは、たまにセルフツッ込みを入れますが
基本テンションが高いのには変わりないです。

ところが、「孤独のグルメ」や「散歩もの」といった、谷口ジロー先生と組む作品などは
話がおだやかに淡々とすすんでいくように見えるのですが、
どこかでスイッチが入ると、とたん、久住節というか、テンションが急上昇する。
そこがギャップとして面白いですし、読者が突っ込みを入れる余地が残されているということもあり
愛されているのだと思うのです。

そんな、注文かぶらすなよ、とか、
井戸をガッコンガッコンやって注意されるなよ 
などですね。

ゴローの表情といい、上野原の珍行動といい、ここにツッコミを入れるのが
読者のたしなみというか、楽しみです。
そんな文法で作られているドラマ版の「孤独のグルメ」も、
なかなか愛されているのだと考えています。

だから、氏のエッセイを楽しむがごとく、水曜の夜中は、起きてしまう自分がいます。

あと、四冊とも共通しているのは、今氏が揶揄したように、
食や味に関する描写が過剰ではないところで、
たんたんと描写しつつも、しっかりとおいしそうに伝わってくるところなのです。

ここも、見習いたいなあと考えています。

四冊とも面白いこと請け合いなので、よろしかったら、読むことをおすすめします。


それにしても、ドラマが面白いのはいいのですが、
最近、週刊漫画ゴラク誌に、「食の軍師」がここしばらく載っていないのは、
「孤独のグルメ」のドラマで久住さんが忙しくなったからなのかなでしょうか。

ドラマも楽しみですが、「食の軍師」の新作も楽しみという私は
ぜいたくでしょうか。






かつて、コミュニティー放送局FM「ラジオふらの」(富良野市)の
月曜午後五時からオンエアーしていた
FURANO History Factory(F.H.F.フラノヒストリーファクトリー)
のパーソナリティーをつとめていた
イトー×aniでした。
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